2010年10月のローンチからわずか3ヶ月で100万ユーザを獲得したInstagram。 現在の登録ユーザ数は900万人、1,000万人にも遠くない。そんなレジェンドアプリのInstagram共同創設者Kevin Systromが Future of Mobile Conferenceで話した内容。TheNextWebの記事。

-最初のアプリ“Burbn”から学んだこと

Instagramの前、現在地や写真を共有できるソーシャルチェックインアプリをつくった。小規模なユーザベースにそこそこウケていたものの、複雑で特徴もなく、遅かった。アプリそのものは悪いアイディアじゃなかったけど、その分野に何も新しさをもたらしてなかった。結局BurbnがInstagramを成功させる前のテストアプリのような役割を果たした。

鍵は、‘unexpected behaviors’ (予想されない行動)を特定し、作り手が考える「どう使われるべきか」ではなく、実際にユーザがどうアプリを使っているか」を見つけること。YouTube analogyもそう。もともとデート市場をターゲットにした動画サイトだったけれど、ユーザが可愛いネコの動画をアップロードするようになってPivot(方向転換)した。

自分たちに質問を投げかけてみた。「もし、Burbnのコアな機能をひとつだけ残せるとしたら、何を残すか」。ユーザは写真を共有するためにアプリを活用していることがわかった。そこで、写真共有ができる位置情報サービスから、なかなか便利な位置情報機能を持つ写真共有のサービスにpivotした。そこから、写真に関係ない機能を外していった。

Pivot:ソリューションではなく問題にフォーカスする

Kevinいわく、「アップストアは90%がソリューションベースのアプリ。重要なのは、そのアプリが問題を解決するか」だ。この問いかけがInstagramをつくっていくプロセスの中心に常にあった。「ソリューションではなく、問題にフォーカスしよう」と。

「Burbnではソリューションから始めて問題に遡った。そのやり方は間違ってる。まず問題から始めて、そこから先に進まなきゃいけない」かっこいいソリューションベースのアプリをつくるのはいいけど、それが何かを解決するかどうかがポイント。何も解決しないなら誰も使わない。

そこでInstagramのチームが自分たちに投げかけた質問は、「写真に関してみんなが抱えている最大の問題は何か?」思い浮かぶ問題をリストアップして、それをどう解決するかを考えた。

ただ、自分たちと同じ方向を向いているサービスが他にあることは重々認識していた。「他の写真アプリに目を向けた。例えばRadarというアプリは資金調達に成功したけれど最終的に失敗に終わった。失敗したものに目を向けることも大事。人が過去にやった同じことをしてもしょうがない。新しいことをしなくちゃ。」

Instagramが解決を目指した3つの問題

問題1.Beauty… 美しさ
当時、モバイルの写真は比較的クオリティーが低かった。「ひどいもんだった。それをどう解決するか?を考えた。またアップストアのトレンドを見て、その他の写真共有アプリの主要機能をチェックした。フィルターが人気であることがわかったけれど、既存アプリは高額でダサかった」

問題2 Speed… スピード
美しい写真に加えて、スピードにフォーカスしたかった。写真がアップロードされるスピード、写真が加工されるスピード。

典型的な写真共有アプリのアップロードやダウンロード時間は相当遅かった。ここでInstagramは問題へのシンプルな解決方法を考えた。「アプリ開発者は時にすごく複雑なソリューションを探す。実はすごくシンプルなことが求められていたりするのに。ユーザのアップロードのスピードをどう向上させるかを考え、簡単にいうとアプリをiPhone4にオプティマイズした。」

iPhone 4の解像度は612 x 612、ここに合わせてアプリを構築した。それ以上でもそれ以下でもなく。ユーザが求めるものに対して、十分なクオリティーだった。スピードに関しては、ユーザが写真のタグなどを始める前にアップロードを開始することでラグタイムを隠した。ユーザが操作上のアップロードをしているときには既に写真をアップロードされている状態。

問題3 Distribution… 他サービスとの連携
「どのアプリでこれを共有しようか」という問題。たくさんのアプリやプラットフォームが写真共有をサポートしていて、ユーザはどこで共有するかをひとつ選ばなきゃいけない。Instagramのアプリ内で、複数プラットフォームに共有できないか考えた。「多くのプラットフォームに対応していることをユーザは重要視する。ここを過小評価しちゃいけない」そうすることでバイラルな循環も生まれる。

今日、Instagramのサイトへの訪問数はデイリーで400万件。「もっとちゃんとしたウェブサイトをオープンするのが待ちきれない。そうしたら400万がもっとすごい数字になるはず」

なぜ成功したかを語るとき、ほとんどのデジタルカンパニーがタイミングや運の良さをあげる。Instagramの場合、iPhone 4のカメラはその明暗に大きく影響した。クオリティーはかなり上がったし、このタイミングで投資する意味が十分あった。

「何をしないか、がプロダクトを定義する」

この3つの問題を特定することでどこにフォーカスすべきかがわかった。ファジーな部分を取り除いて、本当にユーザが求めているものに集中した。もしこの3つの問題のひとつでも解決していなければ、Instagramは今のようにはヒットしていない。「何をするかではなく、何をしないかがプロダクトを定義する。」

ローンチ、プレローンチ、マーケティングに恥知らずになること

問題解決する写真共有アプリをどう大衆の意識に届けるか。100人分のベータ招待を用意し、それをデザイナー、クリエイティブ、インフルエンサー(TwitterのJack Dorsey)などに配った。ただ、鍵となるインフルエンサーにリーチしても、彼らがプロダクトを好きになってくれなければ何の効果も保証されない。

「JackにはBurbnのことも伝えた。彼は1日だけ使ってそれだけだった。Instagramは毎日使ってくれた」Instagramは今年頭に700万ドルの資金調達をしている。投資主にはTwitterのJack Dorseyも入っている。

またプレスには、PR会社を通さず自分たちで直接コンタクトをとった。良い製品をそれをつくった情熱的なチームがプレゼンする方が効果があると。その甲斐があってローンチにはかなりのメディアに取り上げてもらった。「プロダクトを気に入ってくれると思った人にはとにかく連絡をした。その甲斐があったと思う。みんなThe New York Timesなんかに連絡しても時間の無駄だといった。でもThe New York Timesは話を聞いてくれただけでなく、僕たちにわざわざ会いにきてくれた。

ひとつのプラットフォームに集中する

Appleのデバイスを持っていない人はサービス対象外のInstagram。なぜまだAndroidで提供されていないのか?「初日から2つのプラットフォームで始める必要はない。ひとつがうまくいくかを確認することが先だ」

ひとつのプラットフォームの最高のアプリケーションになることで、fine-tune(微調整し、手直し)することができる。ユーザのフィードバックを取り入れ、マーケットをテストできる。さらに、ひとつのプラットフォームに絞ることで小さいチームを維持することができた。その分アプリをさらによくすることに注力できる。

The Next Web meets Kevin Systrom

The Next WebのKevinへのインタビュー。なぜ最初に採用したのはコミュニティマネージャーだったのか、700万ドルの資金をどう使うのか、その他のスタートアップとInstagramを分けるものは何かなどなど。