画像で画像を検索できる「Adobe Stock」など、Adobe MAX 2016の発表内容ざっくりまとめ

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さてさて、今年で13回目となるAdobeが開催するクリエイターの祭典「Adobe MAX」にやってきました。今年の現地への事前登録参加者数は1万人を超えているとか。キーノートはオンラインでも視聴できるそうです。

クリエイティブ・ギャップという課題

今や、優れたデザインは、企業やブランドの成否に直結すると言っても過言ではなくなってきています。立派な差別化要因になるため、デザインやクリエイティブに投資しようという企業は増えるいっぽう。Adobeが運営し、世界800万人が登録するコミュニティ「Behance」の求人数を見てみても、UXデザインや3Dなどを中心にクリエイティブな仕事の需要は前年比で29%増えています。

今年、Adobeは18歳以上5,000人の消費者を対象にグローバル調査(米国・日本・イギリス・ドイツ・フランス)を実施しました。その結果、全体の77%が「クリエイティビティは経済に価値をもたらす」と回答。にも関わらず、「クリエイティブ・ポテンシャルを最大限に発揮できているか?」という問いに対しては、米国で44%、日本はわずか20%にとどまりました。

この「クリエイティビティ・ギャップ」を埋めるための一つの試みが、Adobe MAXです。例年、Adobe MAXでは新製品や新サービスの発表、フラッグシップ製品へのアップデートなどが発表されますが、今回のおおまかな発表内容をざっくりまとめてみました。

Adobe Creative Cloudに関する発表

「Adobe Creative Cloud」は、総合的な制作環境が利用できる定額制サービスのこと。PhotoshopやInDesignといった各種デスクトップアプリケーション、デスクトップアプリと連動するモバイルアプリ、マーケットプレイス(Adobe Stock)、コミュニティから成ります。

そんなCreative Cloudで強化・追加される要素は、主に以下の4つ。

  1. リアルタイムなコラボレーションの強化
  2. モビリティ(デスクトップと同機能をモバイルアプリでも)
  3. クラウド・ファースト(全アセットをフル解像度でクラウドに自動同期)
  4. 機械学習

具体的には…

「Project Felix」を含むデスクトップアプリ

3Dの専門知識が不要な「Project Felix」
3Dの専門知識が不要な「Project Felix」

世の中の3D需要に応える目的で今回新たにリリースされたのが、「Project Felix」です。3Dの専門知識やスキルを持たないグラフィックデザイナーでも、2Dと3Dのアセットを掛け合わせることでリアルな画像を作成できます。素材があらかじめ用意されているため、真っ白のキャンバスから始めなくても済むとか。高くつくスタジオ撮影を過去のものにしてくれそうです。

image via. Adobe
image via. Adobe

デザイン・プロトタイプ・コラボレーションをワンストップで可能にしてくれる「Adobe XD Beta」。8ヶ月間に及ぶβ版期間中、利用者からのフィードバックをもとに毎月新機能を追加してきました。そんなXDに、この度 iOSとAndroidアプリが登場。今年の年末までに、Windows 10にも対応。2017年頭には、共同編集などを可能にする各種クラウド機能もリリースする予定です。

各種Android版とSNSマーケの味方「Spark」

1分でつくったFacebook用の画像
1分でつくれたFacebook用の画像

企業やブランド、はたまた個人にとっても、SNS上のプレゼンスは重要性を増しています。Twitter、YouTube、Facebook、ブログなどのアウトレットで、印象に残るクリエイティブを発信することが、いいね!やフォロワー数に直結するはず。

「Adobe Spark」は、アイディアをものの数分でシェアラブルな動画やグラフィックに仕上げてくれるツールです。無料で手軽に使えるため、学生からデザイナーに至るまで幅広いユーザによって使われているそう。今回、Creative Cloudの有料会員向けに発表されたのが、上記画像の右下にある”#AdobeSpark”のロゴを消して独自ブランドを載せられる追加機能。いちいち社内のデザイナーに頼まなくても、例えばマーケ担当者がSNS用の素材をつくれちゃうのはお便利。

映像制作のための総合環境「Premiere Pro」では、チーム間の映像共同編集が可能に。また近いうちに、「Social Publishing Panel」をリリース予定。複数のソーシャルプラットフォームにまたいだアナリティクスによって、反響が多い時間帯を狙って映像を公開できるようになります。

その他、フラッグシップのデスクトップアプリ周りでは、Photoshopにユニバーサルサーチバーが登場。ツール、パネル、チュートリアルなどを対象に一箇所で検索できるというもの。PhotoshopとIllustratorには、新たにストックテンプレートの追加も。また、モバイルアプリへの各種アップデートに加えて、全モバイルアプリにAndroid版が登場しました。

画像で画像を絞り込み検索できる「Adobe Stock」

Adobe Stockのビジュアルサーチ
Adobe Stockのビジュアルサーチ

Adobe Stockというのは、同サービスのコントリビューターが提供するロイヤリティフリーの写真や画像を検索できるサービス。個別の画像やサブスクリプションを購入すれば、Creative Cloudの各種アプリケーションに同期することも可。今回、Adobe Stockのコントリビューターのためのポータルサイトがリリースされます。

また、痒い所に手が届く新機能で、6,000万点あるという写真や動画素材を検索しやすくなりました。その新機能というのが、機械学習を用いてパワーアップしたビジュアルサーチです。Adobe Stockを使うのは、ビジュアルを得意とする人たち。そんな利用者のために、従来のようにテキスト(文字)で検索するのではなく、画像で画像を検索できるようになりました。

例えば、透明なコップに入ったコーヒーの画像をブラウザにドラッグ&ドロップすれば、似たルック&フィールの写真が出てきます。検索結果をにさらにテキスト検索を加えることで、検索結果を絞り込むことも。検索結果に出てきた画像を使って、結果をさらに絞り込んでいくことも可能。以前に記事にした、ファッションアイテムを画像で絞り込める「Donde」を思い出しました。

デザインとクリエイティブのエコシステム

max-logo

以上、Adobe MAX 2016で発表される内容のざっくりまとめでした。

私はライターなので、カッコよくPhotoshopやInDeignを使いこなしたりしてはおりませぬ。フォトショを使ったのは、それこそ大昔、ECコマースのスタートアップで働いていた時くらい…。ただ、クリエイティブ業界のアウトサイダーとして感じるのは、Adobeがクリエイティビティのエコシステムそのものをつくっているということ。

今回事前にいろいろと話を聞いていても、最良のコンテンツを生み出すツールの提供にとどまらず、出来上がったコンテンツを流通させる仕組み、またコミュニティなどの周辺環境を育むところまでを担っていることがよくわかりました。クリエイティビティのエコシステムを先導しているんですね。

P.S. この記事のアイキャッチ画像に使った格言は、作家のアントワーヌ・テグジュペリによるもの。訳すとこんな感じでしょうか。

「完璧とは、これ以上足すものがない状態ではなく、これ以上引き算するものがない状態を指す」。