一発ホームランじゃなく長く続く企業を目指す
最近、ミリオンダーラースタートアップになることがすべてではないんじゃないかという意見をよく見かける。例えば、投資家のBryce RobertsさんのMediumの記事とか。急成長ではなく、少しずつでも右肩上がりで成長していくことで会社やサービスを長く続けていくことを重視する方針。
この代表的な例としてパッと頭に思い浮かぶのは、プロジェクト管理ツールの「Basecamp」。創業は1999年、とうの昔に黒字化していて、資金調達は一度もせず。ずっとブートストラップでやってきた会社。
Basecampの共同創業者でCEOのJason FriedさんのMediumの記事は何本か翻訳させてもらったことがあるので、よかったら読んでみて。
- グループチャットに振り回されている君へ:グループチャット「Basecamp」創業者が語る「リアルタイム/非同時」を使い分けるコツ
- 年末には全従業員に世界16ヶ所どこでも行ける旅行券など、ビックリしちゃうBasecampの福利厚生
- 疲れていることは褒め称えられることでもなんでもない
パタゴニアさまさま
IT業界に限らず、サステナビリティ(持続可能)というキーワードで思いつくのが、1960年代創業のパタゴニア。わたしもアウトドア系の商品はパタゴニアだけれど、ほつれてしまったら修理して長持ちさせるという、ファストファッションの真逆を行く精神が好き。
パタゴニアは年商8億ドルのうち、1%を環境保護に充てる方針を取ってる。2016年のブラックフライデー(感謝祭の翌日の金曜日から始まる1年で最大のセール期間)では、売り上げの全額を寄付したことも話題になってたね。
パタゴニア投資部門:環境配慮が成功につながる?!
さて、そんなパタゴニアに「Tin Shed Ventures」という投資部門があるんだって。彼らの投資方針は従来のVCとまったく違っていて、
「企業の経済的成功は、社会や環境に与えるインパクトへの配慮によって予測できる」
という考え方に基づいてるの。だから投資先のサプライチェーンに透明性を求めていて、具体的には二酸化炭素排出量・廃棄物・化学汚染などの指標をトラッキングしているそう。
組成額7,500万ドルの投資部門は、2013年から今に至るまでに9社に投資。バッファローの牧場 、ECサイト「Yerdleからテキスタイル開発企業に至るまでポートフォリオは幅広い。今のところ出資先の存続率は100%で、評価額は2桁で上がっているとか。
この斬新な投資方針の妥当性をはかるにはまだ時期尚早だけれど、結果に興味津々。首を長くして待ってみよう。
参照:Quarz
P.S. パタゴニアの創業者がNPRというラジオ局のポッドキャスト「How I Built This」のエピソードに登場していて面白かったのでおすすめよ。
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