「どんな機能がほしい?」は聞くだけ無駄ーーユーザインタビューの超基本

長年(本気で年単位…)放置していたブログの「About Me」のページをやっとこさ更新しました。その中でも触れていますが、書くお仕事のほかにユーザインタビューを請け負ったりもしているので、今日はその辺の話をちょこっと。

わたしの書く仕事の多くは取材ベースなので、記事の出来は「書く力」を上回って「聞く力」が物をいいます。というか、質問力は人生全般において大事なスキルか。まだまだ磨かなきゃと思っていますが、「ライター」と「ユーザインタビュワー」という一見全く異なる仕事に共通して役立っているスキルかも。

基本を抑えたら反復練習

最近も、とある英語学習アプリのユーザインタビュー(先生と生徒の両方に)を実施したのですが、ユーザインタビューってほんとうに奥深い世界だなと改めて実感。

言葉遣いをちょっと変えただけでユーザさんの答えが違ってきたり、もちろん無意識に答えを誘導しちゃうようじゃダメ。いろいろとお勉強していて、わかりやすい「ユーザインタビューの基本」的な記事を見つけました。

Kissmetricsでユーザーリサーチャーを勤めていたCharles Liuさん。今は、DNAホームキットを開発する Helixというスタートアップでユーザ調査をしているそうです。彼がMediumに投稿していた記事は、以前に翻訳させてもらったことも。

まずは基本を抑えたら、上手にユーザインタビューできるようになるための秘訣は反復練習に尽きるかな。

聞くだけ無駄な「どんな機能がほしい?」

スティーブ・ジョブスさまの有名な言葉がありますね。

“A lot of times, people don’t know what they want until you show it to them.”

何がほしい?とユーザに聞くことは、ユーザの想像力に頼ることを意味する。そして、ユーザの想像力は限られる。だって、ユーザにとって製品は自分の目的を達成するツールでしかなくて、彼らのフォーカスはもっぱら目の前にあるTO DOだから。

だから、

何がほしいですか?

という問いかけに対するユーザの答えは、どこまでも彼女・彼が考える「実現可能性」の範疇にとどまってしまう。つまり、プロダクトの方向性を定めるような適切なインサイトはまず得られない。

ひたすら「なぜ?」を繰り返す

image via. Flickr

ユーザインタビューは、一言でいうと”根底にある” ユーザのニーズを見つけるためのもの。サービス提供者が必要だと思う、または作りたい機能なんていうものはどうでも良くて、ユーザのニーズ、困りごと、解決したいことを探り出すことがすべて。

基本的なユーザインタビューでユーザに聞きたいことは、大きく3つ。

  • やりたいことは何か?(コンテキストを集める)
  • ユーザが自分の課題解決のために今使っているツールは?(ワークフローの分析)
  • そのやり方をどう改善できるのか(チャンスを見つける)

 

この3つを探る際に有効なのが、「なぜ?」を繰り返すこと。トラブル原因を因数分解する手法として編み出されたトヨタ式「5回のなぜ」ですね。要因で止まらずに、真因を突き止められるか

これが要因解析における第一の「なぜ」。ただし、要因であって、真因ではない。さらに「なぜなぜ」と追求するのである。

浮かび上がった「メンタル」「行動量」「スキル」という要因。次はそれらをそれぞれ掘り下げて「なぜ」を繰り返し、中骨や小骨を抽出していく。たとえば、「スキル」の少なさ、に焦点を絞ってなぜを繰り返してみよう。なぜ「顧客にうまく説明できていない」のか。スタッフに聞き取り調査をすると、「商品知識が不十分だった」とわかった。(プレジデントオンライン

バンドエイドの応急措置にさようなら

2つめの「ユーザの既存ワークフローの理解」は、ユーザの立場に立って、その困りごとの度合いを知ることに繋がる。不便を解消するためにユーザが独自のやり方を編み出していることもあって、それはもしかすると今後のサービス開発のヒントになるかもしれない。

最後の「そのやり方をどう改善できるのか」は、既存のソリューションに対してユーザが抱える不満を特定することで、どこを改善するかを判断するためのもの。

それはすぐにでも実装に向けて着手すべき機能?ユーザが本当に成し遂げたいことのボトルネックになっているポイントを洗い出すことで、開発の優先順位が見えてくるはず

これを実践することで、Kissmetricsは、バンドエイドを貼るとりあえずの応急処置ではなく、ユーザに長期的な価値を提供するサービスづくりを実現しているそう。

インタビュワーに本音で話せるか?

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わたしが過去に実施したユーザインタビューを振り返ってみると、インタフェースを見てもらいながら進めるもの、普段の生活についてひたすら具体的に語ってもらうもの(生活にあるサービスとのタッチポイントを探るため)、お酒ありのグループインタビューなどさまざま。

グループインタビューの場合、初めましてのみなさんが本音で話せるくらいにリラックスしてもらいたい反面、盛り上がりすぎて「たった一つの意見がみんなの意見」みたいになってしまうのは避けたい。参加者とは、その場の雰囲気で適切な距離を臨機応変にとることが求められる。

あと、考えてみれば当たり前だろうけれど、インタビュワーには、ユーザがなるべく「本音で話せる相手」を選ぶこと。

例えば家計簿アプリについてインタビューを受ける場合。「その日のチラシを見て、一番安いスーパーに買いに行ってます!」ってな話は、かっこいい風な男性に話すより、同性の女性のほうが気軽に話せる。

ユーザが見栄を張ったり、かっこつけたりしちゃうようでは本音は引き出せないので気をつけないとね。

About Meをひさびさ更新

冒頭で触れたとおり、長年(本気で年単位)放置していたTechDollの「About Me」のページをやっとこさ更新しました。

そういえば、特定の記事や記事一覧ページを見ていても三橋ゆか里という名前がどこにも出ていないので、「三橋ゆか里について」とページ名も変更しています。

北米展開を目指す、または目指している日本のサービスで、こっちのユーザ(既存または見込み)にユーザインタビューしたい!みたいなニーズがあれば、yukari77[at]techdoll.jp までご相談いただければと。

そうそう、おまけですが、ユーザインタビューといえば、とっても印象に残っているのが2012年5月(懐かしい!)に公開した片山育美さんへのインタビュー記事

「クックパッドものづくり三原則」とか「ユーザのザッピング能力、薄めで見てみる」など、今でもたくさんの人のヒントになるのではないかと思うので併せて読んでみてくださいな。



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