事業案も企画案も、もっとNOと却下されようーー10案思いつかなければ20案考えろ

10案が思い浮かばなければ20案考えろ

もう図書館に返却してしまったけれど、たくさんメモをとったティモシー・フェリス(Timothy Ferris)著の「Tools of Titans」から。

ヘッジファンドマネージャーで起業家、ベストセラー作家でもあるジェームズ・アタルチャー(James Altucher)氏が、アイディアを叩き出す「アイディア筋」(”Idea muscle”)を鍛えるための実践法を共有してる。

走り書きのメモだから一字一句正確ではないけれど、大枠はこんな感じだったはず。

Write down 10 ideas each morning to develop idea muscle. To build confidence for creativity on demand. If you can’t come up with 10, come up with 20. Perfection is the enemy of idea muscle. It’s ok if the ideas are stupid and embarrassing.

アイディア筋を鍛えるために、毎朝10個のアイディアを考えよう。クリエイティビティをオンデマンドで発揮するための自信をつけるんだ。10個のアイディアが出ないなら20個のアイディアを出そう。完璧主義はアイディア筋の敵だからだ。馬鹿らしくて恥ずかしいようなアイディアだっていい。

彼は、毎朝自分で決めたテーマに対して10個のアイディアを出すんだとか。例えば、

  • 実際に開発してもいいなと思う馬鹿らしい発明(例:スマートトイレ)
  • GoogleやAmazonなど巨大企業が検討すべき事業案
  • 中間業者を取り除けるであろう10の業界
  • 過去のブログ記事で新たに書き直せるもの10案

 

などなど。10個思いつかないなら20個考えろというのはごもっとも。アイディアの質にこだわりたくなる気持ちをおさえて、まずは筋肉をほぐさないとね。アイディアの良し悪しを精査するのは次のステップでいい。

もっと”NO”と却下されるべき理由

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どういう思考回路でこのテーマにたどり着いたのか忘れてしまったのだけれど、書く仕事の企画力をもっと磨かなきゃ!というところから始まった気がする。出版社や媒体に打診されたものを受けるだけじゃなく、もっと自分から企画を提案しなきゃって。

少し前に、とある企画を編集者さんに出したところ、「編集会議にかけて粘ったんですが、ダメでした」と残念な報告をいただいた。同時期に似たような企画があったらしい。

うちの読者的に切り口が…という話ではないから企画の中身についてのフィードバックは得られなかったけれど、「企画はさっさと出せ」ということを学ぶことはできた。

もちろん残念ではあるのだけれど、NOと言われることでフィードバックを得られて、それが反省や学びにつながる。つまり、成長につながる。フリーの一匹狼で仕事をしていて物足りないのはまさにこの「成長」だから、NOと言われる機会を自らつくるくらいのほうがいいんだと思う。

500分の1の確率で案を出し続ける漫画家たち

もっとNOを言われる機会を増やすには、それだけ多くのアイディアや案を創出しなきゃいけない。これに関連する99Uの面白い記事を見つけた。

Idea Sex: How New Yorker Cartoonists Generate 500 Ideas a Week“という記事に登場するのは、コンデナストが出版する雑誌「The New Yorker」(ザ・ニューヨーカー)の漫画家たち。

毎週火曜になると、50人ほどのフリーの漫画家たちが、その週分のマンガを提出する。メールで送信する人もいれば、オフィスにスケッチを持ってくる人もいる。でも、そんな彼らにはひとつの共通点がある。それは、自分のマンガが採用される可能性が限りなく低いこと。

漫画家ひとりにつき、最大10個のマンガを提出する。雑誌の12枠という限られた場所を、500ものマンガが競い合う。ラッキーな週なら、10個描いたマンガのうち1個が売れるかもしれない。それでも90%否定されることに変わりはない。

手を動かしながらアイディアを出す

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「アイディアがアイディアを生み出す」と話すのは、1977年に初めてマンガを売ったというボブ・マンコフ(Bob Mankoff)氏。New Yorkerがその一つ目の作品を買ってくれるまでに何千ものマンガを提出したそう。

彼がマンガのアイディアを練る際によく使うのは、「本来は横に並ばないような2つのものをくっつけてみること」。例えば、”天国”というテーマを思いついたなら、それに”騒がしいナイトクラブ”を組み合わせてみるとか。

アイディアが溢れ出すなんてのは一握りの天才だけに許される状態で、普通の人は”アイディアにつまづいた” 状態がデフォルト。だからこそ、数少ない優良アイディアに頼ろうとするのではなく、思いつくだけのアイディアをひねり出さなきゃいけない。

漫画家のマット・ディフィー(Matt Diffee)氏は、95%のあいだ悶々としていると話す。コツは、「インスピレーションが舞い降りるのを待つのではなく、ひたすらペンを動かし続けて、そのなかでアイディアが生まれおちるようにすること」

彼の場合、毎週考え出す150のコンセプトのなかで、自分の名前を添えてもいいなと思える作品はわずか10個。実際に、イケてる!と思える自信作はそのなかのわずか2作品にとどまるそう。過去16年間のキャリアを振り返っての成功率は、3%だと見積もってる。

NOと言われない事業アイディアは疑ってかかるべき

NOと否定することは失敗なのか成功なのかと聞かれれば、きっと「失敗」に当てはまる。でも、前述の通り、NOは学ぶためのチャンスかもしれない。

NOと言われることで打たれ強くなる、打たれ強くならざるを得ない職種に「起業家」がある。友人や家族にアイディアを否定され、サービスを見せた顧客にもそっぽを向かれ、投資家にもNOと振られ続ける。普通なら、あきらめてしまいそうになるNOの嵐を受けたときこそチャンスかもしれないと話すのが、リンクトイン(LinkedIn)の創業者 リード・ホフマン(Reid Hoffman)氏。

リード・ホフマン氏がホストを務めるポッドキャスト

彼のポッドキャスト「Masters of Scale」の”The Beauty of a bad idea” というエピソードで、彼は 「”NO”の合唱が聞こえてきたら、それは実はいい兆しかもしれない」とそれをポテンシャルと見て取ることができると指摘してる。NOが続いたからといって、必ずしも及び腰になる必要はない、と。

グーグルやフェイスブック、リンクトイン、Airbnbは、どれも最初は突拍子もないクレイジーなアイディアだった。グーグルなんて最初はこう言われてた。「検索と広告の相性がいいはずがない。広告はサイトの滞在時間に紐づくものに、検索はサイトから人を連れ出してしまうのだから」。でも、クレイジーだと言われたアイディアはどれも、今では超スケールしてる。

そもそも、これまでにない新しい何かを始めようとするなら、NOと言われる覚悟で臨むのは大前提。むしろ、誰もがYESと首を縦に降るようなら何かがおかしい。そのアイディアのスケールが大きければ大きいほど、必ず反対意見があるはず。だからこそ、既存企業が挑戦できていなかったり、成功していなかったりするのだから。そこには、チャンスがある。

そのNOに意味はあるのかを見極める

もちろん、一言でNOといっても、それには種類がある。単純にアイディアがひどい場合もあれば、そこに何かのヒントが隠れているNOもある。この違いを見極めることが大切。

ポッドキャストに登場するのが、「Bevel」というカミソリブランドを立ち上げたWalker Coの創業者、トリスタン・ウォーカー(Tristan Walker)氏。2013年創業のBevel は、当時は存在しなかった黒人男性など癖っ毛の人のためのカミソリを開発した。

とある投資家からのNOを、彼はこう解釈したそう。

癖っ毛の男性のために、皮膚刺激の低いカミソリを開発するという案を投資家にピッチする際、ニキビのプロアクティブを例に出した。プロアクティブとニュートロジーナの違いを、ジレットとBevelに比較できると思ったからだ。すると、とある投資家にこう言われた。

“君、人はニキビに悩むほどカミソリによる皮膚刺激に悩んでいないだろう”。

彼の言い分もわからなくはない。でも、10人の黒人男性にちょっと話を聞いていれば、皮膚刺激の問題が顕著であることを確かめられたはずだ。白人男性に聞いたって、10人中4人は皮膚刺激に困っていると答えただろう。

この投資家は、このちょっとしたリサーチの手間を怠った。これはアイディアの優劣の問題じゃない。ニーズやその背景を理解しようとする姿勢が欠けている、ただの怠惰でしかない。これ以上時間を無駄にしても仕方がないと思って次の投資家に進んだよ。

プライベートでNOと言われるのは誰でも怖いし、傷つくことが多い。でも、こと仕事においては、もっとNOって言われてやるぞルンルン♪ くらいの心持ちでいても良いのかもしれない。